2012年09月23日

【書評】すべてを売り物にして良いのか? 『それをお金で買いますか』 マイケル・サンデル

◆それをお金で買いますか?


◆何でもカネで取引きして良いのか?


最近、いろいろなモノが売り・買いされているようです。
本当にこの流れで良いのか?と著者は警報を鳴らしています。

【売り物の例】
・アメリカ刑務所の独房の格上げ:一晩82ドル
・インド代理母による妊娠代行サービス:6250ドル
・アメリカ合衆国へ移住する権利:50万ドル
・1トンの炭素を排出する権利:13ユーロ(約18ドル)

【買い物の例】
・額などのスペースに広告を貸し出す:777ドル
・製薬会社の人間モルモット:7500ドル
・民間軍事会社の一員としてアフガンで戦う:1ヶ月250ドル〜1日千ドル
・議会の公聴会の席をとるためて徹夜で並ぶ:1時間15ドル〜20ドル

このように、ほぼあらゆるものが売買される時代に生きています。
健康、教育、国家の安全保障、刑事司法、環境保護、保養、生殖、
その他の社会的な善を、お金で取引きすることが当然となって
きています。

しかし、このすべてが売り物になる社会に向かっていることには、
何か危さが漂い、誰もに心配する気持ちを生じさせます。

その理由には二つある、と著者は分析しています。
一つは不平等にかかわるもの、もう一つは腐敗にかかわるものです。

不平等については、お金で買えるものが増えれば増えるほど、
裕福であることが有利となり、貧しい人が生きていくのが大変になります。

裕福であると、高級車や広い家が買えたり、優雅な休暇が過ごせるという
ことだけならそれほど問題になることはないが、政治的影響力、すぐれた
医療、安全な生活環境、一流の学校への入学などがお金で買えるようにな
ると、富の問題はいやがうえにも大きくなり、その差があらゆる違いを生
み出すことになるからです。

あらゆるものが商品となると、お金の重要性が増し、不平等の痛みがより
一層ひどくなってしまうのです。

もう一つの腐敗とは、生きていく上で大切なものに値段をつけると、
それが腐敗してしまう恐れがある、ということです。

あるものを売買しても良いと判断するとき、人はそれを商品として、利益
を得る道具、使うための道具として扱うのが妥当だと、少なくとも心の中
で判断しているはずです。

しかし、このやり方であらゆるものの価値が、適切に測れるわけではあり
ません。

例えば、人間です。生きた人間を奴隷として商品扱いして、競りの対象に
することはできません。人間の尊厳に関わる問題となるからです。

大人だけではなく、子供を売買するのも許されるものではありません。

このように、生きて行くうえで大切なものの中には、商品になると、
腐敗したり堕落したりするものがあるということです。

本書では、売買されるべきものと、そうでないものを区別するには、
どうすればよいのかについて、沢山の事例を通して考えます。

当然、対立するさまざまな考え方が関わってきますので、決定的な
解答を導くことはできません。

しかしながら、少なくとも、こうした問題と対峙したときに、どう
考えれば良いのかを本書は教えてくれます。

世の中の背景にある矛盾点に気づき、考えたい人にオススメの一冊!
じっくりと時間をかけて読むことをオススメします。

◆本日のオススメ!


それをお金で買いますか――市場主義の限界
それをお金で買いますか――市場主義の限界マイケル・サンデル Michael J. Sandel 鬼澤 忍

早川書房 2012-05-16



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国民的ベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』の
サンデル教授、待望の最新刊登場!
現代最重要テーマに、教授はどう答えるか?

(本文より)
私たちは、あらゆるものがカネで取引される時代に生きている。
民間会社が戦争を請け負い、臓器が売買され、公共施設の命名権
がオークションにかけられる。

市場の論理に照らせば、こうした取引になんら問題はない。
売り手と買い手が合意のうえで、双方がメリットを得ているからだ。

だが、やはり何かがおかしい。

貧しい人が搾取されるという「公正さ」の問題? それもある。
しかし、もっと大事な議論が欠けているのではないだろうか?

あるものが「商品」に変わるとき、何か大事なものが失われることが
ある。これまで議論されてこなかった、その「何か」こそ、実は私たち
がよりよい社会を築くうえで欠かせないものなのでは――?

私たちの生活と密接にかかわる、「市場主義」をめぐる問題。
この現代最重要テーマに、国民的ベストセラー『これからの「正義」
の話をしよう』のサンデル教授が鋭く切りこむ、待望の最新刊。



◆目次メモ


序章 市場と道徳
 市場勝利主義の時代
 すべてが売り物
 市場の役割を考え直す

第1章 行列に割り込む
 ファストトラック
 レクサスレーン
 行列に並ぶ商売
 医者の予約の転売 など

第2章 インセンティブ
 不妊への現金
 人生の経済学的アプローチ
 成績のよい子供にお金を払う
 保健賄賂 など

第3章 いかにして市場は道徳を締め出すか
 お金で買えるもの、買えないもの
 買われる謝罪や結婚式の乾杯の挨拶
 贈り物への反対論
 贈り物を現金にする など

第4章 生と死を扱う市場
 用務員保険
 バイアティカル−命を賭けろ
 デスプール
 生命保険の道徳の簡単な歴史 など

第5章 命名権
 売られるサイン
 名前は大事
 スカイボックス
 マネーボール
 ここに広告をどうぞ など

◆著者の履歴 マイケル・サンデル(Michael Sandel)


1953年生まれ。ハーバード大学教授。専門は政治哲学。ブランダイス大学を卒業後、オックスフォード大学にて博士号取得。2002年から2005年にかけて大統領生命倫理評議会委員。1980年代のリベラル‐コミュニタリアン論争で脚光を浴びて以来、コミュニタリアニズムの代表的論者として知られる。類まれなる講義の名手としても著名で、中でもハーバード大学の学部科目「Justice(正義)」は、延べ14,000人を超す履修者数を記録。あまりの人気ぶりに、同大は建学以来初めて講義をテレビ番組として一般公開することを決定。この番組は日本では2010年、NHK教育テレビで『ハーバード白熱教室』(全12回)として放送されている。同講義を著者みずから書籍化した『これからの「正義」の話をしよう』は、日本をはじめとする世界各国で大ベストセラーとなった。

◆著者の『公式ブログ』はコチラ


>> Justice with Michael Sandel - Online Harvard Course Exploring ...


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posted by かっちゃん2.0@名古屋 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営・経済・会計・人事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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