2012年10月14日

【書評】日本人特有の弱点?『「超」入門 失敗の本質』 鈴木博毅

◆「超」入門 失敗の本質


◆日本軍と現代日本に共通する弱点!


本の裏表紙には、こう書かれています。

 名著『失敗の本質』を
 現代日本の問題と重ね合わせて
 23のポイント、7つの視点から
 ダイジェストで読む。

続いて、序章の最初の文章。

 「『失敗の本質』って、ビジネスにどう使えますか?」
 ある経営者の方から、私が以前受けた質問です。
 ・・・
 実際に読んでみて、ヒントはあると感じるが、具体的に
 どう自分の会社に活かしていいのかわからない、と。
 本書が名著『失敗の本質』から、私がビジネス戦略・組織論の
 コンサルタントとしてどのようなことを学び、仕事の現場で
 活かしてきたかを解説しながら、皆さんとともに学んでいく
 書籍です。

序章を読むと、著者の思いが伝わり、期待が高まる内容になって
います。

所々、著者の面白いアイデアで最近の世の中の動きを読み解いて
いますが、全体的には冗長で繰り返し的な内容も多く含まれています。

その理由を著者はこう解説しています。

 『失敗の本質』は素晴らしい示唆を豊富に含みながら少し難解であり、
 最後まで読み通した方、完全に理解できる方は少ないかもしれません。
 本書はポイントをダイジェストでまとめ、忙しいビジネスパーソンが
 『失敗の本質』を仕事で役立てられることを目的としています。

というこで、『失敗の本質』の解説版という位置付けでもあるようです。

その中で、日米企業の比較は、身近な内容であり、
結果の後追い解説版としても、面白いまとめ方となっています。

◆マイクロソフトが世界制覇できた戦略

・新しい指標を発見することは、戦略そのものを発見することになる。
・新しい指標を使いこなすことで、圧倒的な勝利が得れる

勝者:マイクロソフト
指標:プラットフォーム戦略(ソフトの互換性、ネットワーク効果) 
結果:従来の指標を覆す指標で圧倒的に勝利する

敗者:その他企業(日本企業、初期のアップル)
指標:製品単体の性能強化戦略(高性能、高価格)
結果:古い指標を追い続け、新たな指標に敗北する

◆ビル・ゲイツの成功を横から眺めていたジョブズのイノベーション

ジョブズのアップルの成功は、誰でもが知るところです。
しかし、当初は、Nextコンピュータという高性能・高価格で勝負し、
マイクロソフトとの勝負に敗れ、アップルを追い出されました。

しかし、そこから見事な復活を遂げています。
それがイノベーションを創造する3ステップです。

◆イノベーションを創造する3ステップ
・ステップ1: 勝敗を支配している「既存の指標」を発見する
・ステップ2: 敵が使いこなしている指標を「無効化」する
・ステップ3: 支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う

これをスティーブ・ジョブズの復活劇に当てはめてみると、

ステップ1 「既存指標」の発見
 ・工業製品的なデザイン
 ・処理能力や価格競争
 ・商品単体で完結する機能性
 ・通話や通信の高い技術

ステップ2 敵の指標の「無効化」
 ・お洒落なデザイン(iMac、iPod、iPhone、iPad)
 ・感覚的な操作性(同上)
 ・ネットワーク型の利便性(iTunes Store)
 ・オープンソースなアプリ開発(iMac)

スッテプ3 「新指標」で戦う
 ・プラットフォーム化し、技術競争、価格競争からは一線を引く

それに対して、日本の電化製品や携帯電話は、効果を失った指標を
追い続けています。その結果は皆さんご存じの通りの状況です。

その他にも、次のような企業が紹介されています。

・インテル(メモリメーカーからCPUメーカーへ変身)
・ホンダ(米国でのスーパーカブの大ヒット)
・伊奈食品(寒天の用途拡大戦略で創業以来、48年間連続増収増益)
・コダックと富士フィルム(イノベーションへの対応の違い)

・日産の復活(日産リバイバルプラン)
・コンチネンタル航空(コスト削減から機内の清潔さと到着時刻に指標を変更)
・コンコルド(サンク・コストで中止できなかった事例)

・はやぶさ(コンティンジェンシー・プランの用意)

ビジネスパーソンの方は、一度は目を通しておくことをオススメします。

◆本日のオススメ!


「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ鈴木 博毅

ダイヤモンド社 2012-04-06



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◆アマゾンの内容紹介から ↓

★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
「本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である」

■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

また、長年日本を牽引してきたソニーをはじめとする製造業の混迷、
国際競争の中で次々と日本企業が敗れていく現実を前に、
『失敗の本質』が明らかにした、日本的組織の特性に再度注目が集まっています。

■日本軍と現代日本に潜む共通の構造

『失敗の本質』は大東亜戦争において、
米軍より物量や技術面で劣っていたのではなく、
日本という組織が持つ構造的・精神的な特性こそが
最大の敗因であることを明らかにしました。

戦局の前半で快進撃を続けた日本軍は、
数々の作戦の失敗から学ぶことなく、雪崩を打って敗戦へと向かいますが、
その裏では、組織が陥りやすい意思決定の矛盾や、
大本営と現地とのコミュニケーション不全といった
極めて今日的な問題が起きていたのです。

そうした日本的な組織の特性は、戦後の日本組織一般にも
無批判に継承され、今日の日本企業の凋落と衰退を
生み出す大きな要因となっています。

■途中で挫折した人でも大丈夫!

『失敗の本質』は素晴らしい示唆を含みながらも難解で、
最後まで読み通せた人、きちんと理解できた人は少ないかもしれません。

そこで、本書は若手戦略コンサルタントが23のポイントに整理して、
日本軍と日本企業が直面する「共通の構造」を、
普通のビジネスマンでも理解できるようにやさしくまとめた本です。
みなさんが所属するあらゆる組織への応用も可能です。

「あのとき」と変わらない日本人が陥る思考・行動特性を
明らかにした名著には、組織再生、日本再生へのヒントが満載です。



◆目次メモ


序章 日本は「最大の失敗」から本当に学んだのか?
 ざっくり知っておきたい戦史
 失敗例としての「6つの作戦」
第1章 なぜ、「戦略」が曖昧なのか?
 01 戦略の失敗は戦術で補えない
 02 「指標」こそが勝敗を決める
 03 「体験的学習」では勝った理由がわからない
 04 同じ指標ばかり追うといずれ敗北する
第2章 なぜ、「日本的思考」は変化に対応できないのか?
 05 ゲームのルールを変えた者だけが勝つ
 06 達人も創造的破壊には敗れる
 07 プロセス改善だけでは、問題を解決できなくなる
第3章 なぜ、「イノベーション」が生まれないのか?
 08 新しい戦略の前で古い指標はひっくり返る
 09 技術進歩だけではイノベーションは生まれない
 10 効果を失った指標を追い続ければ必ず敗北する
第4章 なぜ、「型の伝承」を優先してしまうのか?
 11 成功の法則を「虎の巻」にしてしまう
 12 成功体験が勝利を妨げる
 13 イノベーションの芽は「組織」が奪う
第5章 なぜ、「現場」を上手に活用できないのか?
 14 司令部が「現場の能力」を活かせない
 15 現場を活性化する仕組みがない
 16 不適切な人事は組織の敗北につながる
第6章 なぜ、「真のリーダーシップ」が存在しないのか?
 17 自分の目と耳で確認しないと脚色された情報しか入らない
 18 リーダーこそが組織の限界をつくる
 19 間違った「勝利の条件」を組織に強要する
 20 居心地の良さが、問題解決能力を破壊する
第7章 なぜ、「集団の空気」に支配されるのか?
 21 場の「空気」が白を黒に変える
 22 都合の悪い情報を無視しても問題自体は消えない
 23 リスクを隠すと悲劇は増大する

◆著者の履歴 鈴木博毅(すずき・ひろき)


1972年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。ビジネス戦略、組織論、マーケティングコンサルタント。MPS Consulting代表。大学卒業後、貿易商社にてカナダ・豪州の資源輸入業務に従事。その後国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。戦略論や企業史を分析し、負ける組織と勝てる組織の違いを追求しながら、失敗の構造から新たなイノベーションへのヒントを探ることをライフワークとしている。わかりやすく解説する講演、研修は好評を博しており、顧問先にはオリコン顧客満足度ランキングでなみいる大企業を押さえて1位を獲得した企業や、特定業界での国内シェアNo.1企業など成功事例多数。ガンダムをビジネスに置き換えて解説したガンダム・ビジネス本シリーズは、楽しく組織論を学べる書籍として大いに話題を呼ぶ。著書に『ガンダムが教えてくれたこと』『シャアに学ぶ逆境に克つ仕事術』(共に日本実業出版社)、『超心理マーケティング』『儲けのDNAが教える超競争戦略』(共にPHP研究所)がある。

◆著者の『公式ブログ』はコチラ
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では、また。



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posted by かっちゃん2.0@名古屋 at 17:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 人生論・教訓 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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